ロケーションベースAR(拡張現実)のゲームがアメリカ合衆国憲法修正第一条によって守られる

米国で判決,ARタイトルがプレイされる可能性がある場所を条例でブロックすることは違憲であると退ける。

 米国でのこの違憲判決は,ARゲームを制作するデベロッパの勝利として賞賛されており,ARおよびロケーションベースのゲームタイトルに制限を課すことは不可能とみなされている。

 この一件はウィスコンシン州のミルウォーキー郡を中心に展開している。同州では今年2月,Pokemon GOのようなゲームを制作するデベロッパに対し,郡の公園でアプリが使用される場合,事前の許可取得や利用料支払を必要とするAR条例が採択された(参考英文記事)。

 テクノロジー系の情報サイトArs Technicaによれば,この条例がカリフォルニアに拠点を置くスタジオ,Candy LabのロケーションベースARのポーカーゲームTexas Rope'Emにも影響を及ぼすため,同社が訴訟を起こしたとレポートしている。同社は,公園がゲームプレイヤーであふれ返るのを防ぐための事前許可制ではあるが,その許可を取得するプロセスは実質的に不可能であると主張した。

 ミルウォーキー郡では同条例の施行に際して,デベロッパに対し,群衆として集まるプレイヤーの人数だけでなく,彼らが公園に押し掛けるであろう日時を推定するよう求めていた。また,現場での安全確保や医療サービス,ゴミの回収,公衆トイレの使用ついても計画を立てるよう求めているうえ,1000ドル(約11万2000円)を支払わなければならないという。

 Ars Technicaはまた,今週,ウィスコンシン州地方裁判所のJ.P. Stadtmueller裁判官が,この条例の執行を差し止めることを目的とした予備的差止命令を出したと報告している。

 判決文によると同裁判官は「Candy Labが主張する同州の当該条例は修正第一条違反であるとの差止請求は,同社に合理的な成功の可能性がある」としている。

(※編注:アメリカ合衆国憲法修正第一条は,端的に言うと,市民の基本的人権に関する規定であり,宗教や言論,出版,集会の自由などを定めている)

 だがこれは,2018年4月に予定される最終的な判決が出るまでの一時的な措置にすぎない。ミルウォーキー郡はTexas Rope'Emや同様のロケーションベースARのゲームは,修正第一条によって保護されるべきではないと主張している。

 「Texas Rope'Emはいかなるメッセージやアイデアも伝えていません」とミルウォーキー郡が発表した声明は述べている。「本,映画,音楽,演劇,そしてゲーム,つまり修正第一条により問題なく保護される表現方法とは異なり,このゲームは構想,ストーリー展開,キャラクター,そして対話もなく,カードとマップがランダムに表示されるだけです。修正第一条の対象となるコミュニケーションの機能がないので,Candy Labにはそもそも同条を主張する権利はありません」

※本記事はGamesIndustry.bizとのライセンス契約のもとで翻訳されています(元記事はこちら