本格的モーションキャプチャスタジオやVR機器などを無償で提供,リクルートテクノロジーズがオープンイノベーションスペースを開設

アドバンスドテクノロジーラボ。東京都渋谷区広尾3−12−36 ワイマッツ広尾ビル4F 山種美術館の上にある。恵比寿駅から徒歩10分
本格的モーションキャプチャスタジオやVR機器などを無償で提供,リクルートテクノロジーズがオープンイノベーションスペースを開設
 2017年6月15日,リクルートテクノジーズは,東京都広尾に先端技術のためのオープンイノベーションスペース「アドバンスドテクノロジーズラボ」を開設した。

 これは,大規模なVRなど個人や小チームでは開発が難しい分野に対して,同社が機材とスペースを無償提供するというもので,作業&交流スペースとして用意されている。
 施設としてのアドバンスドテクノロジーズラボは,大きく3つのエリアに分かれており(社員用エリアを除く),「展示・ワーク兼イベントスペース」は多目的に使える広めのスペースで今回の発表会もここを使って行われたが,普段はテーブルと椅子を配置したオープンスペースとなるようだ。(複数の)イメージ画像では,なぜか卓球台もある。「テーマスペース」は,さまざまな種類の開発サポートに特化されたエリアで,モーションキャプチャ機材,グリーンバッククロマキー施設,ワイヤレスVR用スペース,VR機器を備えたデスクなどが用意されている。「フリースペース」には展示スペースやデスクなどが用意されている。今回の取材時には,イノベーション系のガジェットやVRデモなどが展示されていた。

本格的モーションキャプチャスタジオやVR機器などを無償で提供,リクルートテクノロジーズがオープンイノベーションスペースを開設
左:入り口からフリースペースを見たところ。右:展示・ワーク兼イベントスペースのイメージ
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 これらの機材を利用すれば,個人では開発の難しい,多人数VRの実験や体感型ゲームの開発,各種モーションキャプチャデータの収録が可能になる。高性能PCなども備えられているので,施設内での検証や開発も可能だ。成果物であるデータやコードに対してリクルートテクノロジーズが権利を主張することはなく,広報権のみが条件として挙げられている。
 まあ,背負い型のVR機材を使ったマルチプレイヤーゲームなどを作ろうとする人は限られているかもしれないが,モーションキャプチャデータなら一般的なゲームでも広く活用できるので需要も多いだろう。
 モーションキャプチャにはOptiTrackのシステム(Prime 13Wか?)が一式用意されており,同時に二人のモーションを取得できる。個人でも使えそうな低価格なモーションキャプチャシステムもないではないが,こういった絡みを伴うようなデータ(格闘ゲームだと投げとか)はハイエンドシステムでないと難しい。モーションキャプチャスタジオなどを使うと1日数十万円かかることを思えば,信じられないような設備といえる。


 また,グリーンバックの設備があれば,一般にはアピールしにくいVRタイトルを,VR世界内での様子をパブリックビューの形で映像化できる。Oculus VRやHTCが公開しているような,VR空間に入り込んだようなビデオを作製できるのだ。HTCはそれ用のシステムを公開しているのだが,グリーンバックのスタジオを用意するのは決して簡単ではなかった。

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 リクルートテクノロジーズの執行役員兼CTOを務める米谷 修氏は,同社の取り組みについて紹介した。
 この施設は個人を含む広く一般に開放されているものだが,利用するためには事前登録が必要となり,登録者は同社の客員研究員扱いとして施設を利用可能になる。出入りの際は顔認証が行われるので,写真登録も必要だ。登録者以外のゲストの出入りなどはできない。利用は予約制となっている。

 この設備の設立目的については,先端分野の開発には高価な機材が必要なことが多く,米谷氏は一般のエンジニアやクリエイターには手の届かないものになっていることを憂いていたという。アイデアは持っているが実践する場がない人たちを支援するために,今回のプロジェクトが始まったという。

 どうして無償でできるのか,本当に無償なのかなどについては,ゲストとして登壇した「エンジニアタレント」の池澤あやかさんから何度も確認があったが,とくに裏はないようだ。同社は過去に女子大生によるスマートアクセサリ開発のような企画も行っているが,彼女たちと話してアイデアはあるのにそれを生かす場がないのだことを米谷氏は痛感したという。
 こうしたクリエイターに投資することは,同社にとってなにもメリットがないのではないかという疑問に対して,米谷氏は「共進化」という概念を挙げて,こういった試みが同社にとっても無益ではないという考えを示していた。

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 先端的コンテンツ開発のために導入された機材いついては,そのアドバイザーとなったハシラスの安藤晃弘氏から解説が行われた。ハシラスは過去の同社によるコンテンツ開発でも協力関係にあるようだ。全体にロケーションベースVRを意識した設備が多いように感じたのだが,とくにそれを意図しての選択ではなく,個人では導入しにくく有用なものが選ばれたようだ。
 設備機器一覧には「VR酔い測定器」などというものも載っていたのだが,残念ながら当日は用意されていなかったのでどんなものかは確認できなかった。VR酔いは,開発者はだんだん鈍感になっていくので,個人や少人数での開発では注意が必要だというのは,かなり初期,それこそOculus VRがGDCに初参加した年のセッションあたりでも注意されていたことだ。VRゲームの個人開発者などにとっては,このあたりの利用だけでも価値があるのかもしれない。

機材リスト。多彩なVRヘッドセットが用意されているので,互換性検証にも活用できる
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エリアは8×4m。竹刀にもプローブを付けて,剣の動きを追うこともできる
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バックパックPCを背負っての,マルチプレイVRの実働環境が提供される
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 なお,この施設を利用した場合でもリクルートテクノロジーが開発サポートなどを行うことはない。そこは,それオープンイノベーションスペースなので,ローカルな開発コミュニティができていくのだろう。
 インディーズ開発者や小規模のスタジオには信じられないような内容の施設が登場となった。同施設は,6月26日から一般利用が可能になる。本日からメールで事前登録受付が開始されているので,公式Blogを参考に興味のある人はぜひ活用してみてほしい。

左:なぜかPepper君も。右:VR設備とデュアルディスプレイ,高性能PCを備えたブースも用意されている
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公式Blog:VR開発に関する設備を備えたオープンイノベーションスペースを公開します