全国のネットカフェでVRコンテンツを楽しめる「Virtual Gate」発表会レポート

全国のネットカフェでVRコンテンツを楽しめる「Virtual Gate」発表会レポート
 2017年5月29日,ネットカフェ事業を行うテクノブラッドは都内でネットカフェ事業者向けカンファレンスを行った。その中で発表されたのがネットカフェ向けVR(仮想現実)プラットフォーム「Virtual Gateバーチャルゲート」だ。
 簡単にいえば,Virtual Gateとは,ネットカフェでVRコンテンツが楽しめるようになるソリューションである。お店に行って,VRヘッドセットを借りて,対応コンテンツを起動するという流れだ。使用されるVRヘッドセットには,日本発のFOVE 0が採用されており,視線トラッキング機能を使ったコンテンツが楽しめる。FOVE 0は着座を基本としたVRシステムなので,一般的なネットカフェでもそのまま利用できる模様だ。Virtual Gateはすでに全国33箇所のネットカフェでサービスを開始している。

Virtual Gate対応ショップ一覧


栗原俊幸氏
 さて,テクノブラッドは,主にネットカフェ向けのデジタルコンテンツの流通を行っている会社であり,今回のVirtual Gateの試みは日本と韓国のネットカフェで展開していく予定だ。稼動店舗は順次拡大され国内112店舗,将来的には1800店舗での運用を目標としているという。
 VR事業部ディレクターの栗原俊幸氏は,同社はオンラインゲーム黎明期からネットカフェでのオンラインゲーム展開を進めてきており,「家でなかなかできないことをネットカフェでやる」というビジネススタイルを,現在のVRでも展開していくというわけだ。高価なPCをそろえる前に,VRでどんなことが体験できるのか確認する場としても需要を見込んでいるという。

 氏曰く,Virtual Gateは「世界初の施設設置型VRプラットフォーム」だそうだ。ネットカフェで独自にGear VRを貸し出したりしているところはすでにあったり,VRアーケード自体は中国をはじめとして数多く展開されているので,なにをもって世界初としているのかは不明だったが,複数のネットカフェのような施設に向けて統一的にコンテンツを配信するものとしては初になるのかもしれない。ちなみにVirtual Gateという名前は「VRへの入り口」を意味しているとのこと。

小島由香氏
 Virtual Gateで使用されるFOVE 0については,FOVE代表取締役社長の小島由香氏から紹介が行われた。
 FOVEといえば,いち早く視線トラッキング機構を備えたVRヘッドセットとして知られている。つまり,プレイヤーが表示されるVR映像のどこを見ているか,ソフト側が判別できるのだ。Oculus VRやHTCも視線トラッキングを次世代VRヘッドセットの必須項目として挙げており,VRでの次世代インタフェースでは一歩リードしている会社とも言える。ただ,ヘッドセットの展開は遅れており,今年になってようやくFOVE 0が開発者向けに出荷され始めたばかりである。Vitual Gateでの採用は同社にとっても大いに意義のあるものであろう。

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 FOVEの最大の特徴はやはり視線トラッキング機能であり,奥行きを伴った視線情報を得ることで,インタフェースを操作したり,プレイヤーと目を合わせるようにキャラクターの目を動かしてより感情豊かにするなど,多くの使い道があるという。

 キャラクターとのアイコンタクト例として挙げられたのが,Virtual GateでFOVE VRのホーム画面に使われている「アスナと会えるFOVE VRホーム」だ。タイトルから察しがつくと思うが,「ソードアート・オンライン」のヒロインであるアスナがコンシェルジェとしてVR空間に登場し,視線を使ってさまざまなインタラクトが行えるというものとなっている。あんまり変なところ見ていると怒られたり,そっぽを向いていると怒られたりするところが会場でデモされていた。もしかしたら,サマーレッスンなどでも変なところばかり見ていると女の子から怒られた人もいるかもしれない。そういうのでは顔の向きさえ変えておけばチラ見でもバレなかったが,視線トラッキングされていると,全部バレバレである。こう書くとあまり有意義な技術でないないような気もしてくるが,キャラクターときっちり視線が合うというのは,ゲーム体験をより豊かにしてくれるだろう。
 なお,これは無料で利用できるコンテンツだが,7月末までの期間限定なので,試したい人はお早めに。

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 VR空間でのこういったキャラクターとのやり取りは普通のゲームにはないものであり,栗原氏はVirtual Gateの当面のキャッチフレーズとして「会いたいは会えるに変わる」を掲げ,それに沿った展開を行っていくことを示唆した。

 続いて,この取り組みに国内外の多くのデベロッパが参加していることも示された。現時点でVRゲームとコンテンツ合わせて277本が用意されており,年内に500コンテンツが目標として掲げられていた。

 こういったVirtual Gateの展開を行っていくうえでのイメージキャラクターとして,バーチャルYouTuberの「キズナアイ」が採用されている。目玉コンテンツについても彼女に説明してもらったほうが早そうな気がするので,まずは以下のムービーをご覧いただきたい。


 キズナアイはイメージキャラクターとしてだけではなく,キズナアイを扱ったコンテンツも作られていくとこのこと。
 ムービーで一点だけ注意しておくと,ここで紹介されているコンテンツには,ローンチ時点では実装されていないものもある。6月中に公開されるものが多いようだ。

三上昌史氏
 今後展開されるコンテンツについては,それぞれの開発会社が登壇して紹介を行った。最初はアニメなどのデジタルプロモーションを得意とするシーエスレポーターズだ。同社専務取締役の三上昌史氏から紹介されたのは3タイトルで,「Re:ゼロVRで異世界生活」は6月16日から,「VRグリーティング握手会 from KING OF PRISM」は4キャラ分がいずれも6月30日から,「DIVE!!VRレッスン」は7月21日の導入が予定されている。いずれも価格は500円となっている。
 Re:ゼロは,ライトノベルのアニメ化作品が昨年人気になった「Re:ゼロから始める異世界生活」のVRデモである。すでにスマートフォン版が公開されているが,なかなか公表であるとのこと。このデモではアニメで話題になった膝枕や添い寝などが体験できる。


 レム編では,プレイヤー名を入れることで,レムがニックネームで呼んでくれるといった要素が実装されているとのこと。また,限定得点として声優二人の直筆サイン色紙プレゼントが予定されているという。

 キンプリVRは,TGSなどでも公開されていたVR握手会のもので,4人のキャラクターの一人がプレイヤースケートでエスコートしてプリズムジャンプを披露してくれるとのこと。イベントで公開されることはあったが,抽選でしかプレイできなかったものがネットカフェで体験できるようになる。

 最後のDIVE!!は7月6日からフジテレビ系で公開が予定されている高飛び込みをテーマにした小説のアニメ化作品をさらにVRコンテンツにしたものだ。コンテンツでは主人公の知季が高飛び込みのレッスンをしてくれるという。限定得点も用意されるとのこと。

 ぜひVirtual Gateでアニメの世界に入り込んだような体験をしてほしいと三上氏は語っていた。

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川崎伸明氏
西島栄太郎氏
 続いてサイバード ゲーム事業本部プロデューサーの川崎伸明氏とエイタロウソフト代表取締役西島栄太郎氏から乙女向けのVRコンテンツが紹介された。「イケメン戦国VR」と「マジカルデイズVR」の2タイトルだ。

 川崎氏によると,スマホで人気のイケメン戦国からVR化されたのは,とくに人気の高いという織田信長関連のもので,壁ドンなどが体験できるという。
 マジカルデイズは男だらけの魔法学園にいる女性主人公という逆ハーレム状態の乙女ゲーで,VRコンテンツではキャラクターの一人であるノラを膝枕するという体験ができるものだそうだ。
 なぜ乙女ゲーをVRにしたのかと聞かれた西島氏は,まだVR普及前の2015年当時に,女性向けは3Dより2Dが好まれるという世評に対し,3DだとどうなるのかをTGSで実験してみたことがあったのだという。社内ではやはり2Dのほうがいいという結論になったらしいのだが,一般客相手に公開してみると,「まさに夢見ていたもの」と大変に好評で,いつ発売になるのかと問い合わせもあったという。VRにすることで,よりお客さんに親しんでいただけるのではないかと今回のVR化に踏み切ったとのこと。
 難しかったのは,2Dキャラを3Dにするときに「似てない」などの声が出がちなことで,3Dモデリングにはとくに気を使ったという。どうしても見え方は変わるので,見え方が変わってもそのキャラに見えるようにデザインを心がけているそうだ。

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 そういったコメントに対し,テクノブラッドの栗原氏はむしろ女性のほうが素直にVRに感動してくれるとの話をしていた。男性はどうも理屈っぽくていけないらしい。むしろ女性のほうが没入感にフィットしているのではないかと西島氏も語っていた。
 なお,イケメン戦国VRとマジカルデイズVRはすでに公開されており,無料で楽しめる。

千田翔太郎氏
 次に登壇したのはMyDearest取締役COOの千田翔太郎氏だ。冒頭で「物語の世界に入り込みたい」と思ったことないかと問いかけた千田氏は,最近ではスラムダンクでバスケを始めるなど,エンタメは人生に大きな影響を与えていると語り,さらにVRは共感のメディアであるとする。これらの組み合わせで,同社では「FullDive Novel」と称してVRとライトノベルの融合を目指していると語った。
 FullDive NovelはVR空間に小説のテキストが浮かび,挿絵に相当するシーンが背景となって展開していくインタラクティブなメディアである。カスタマイズで寝ながら,視線だけで操作することができる。小説のテキストはリラックスして読め,長時間VR体験を楽しめるコンテンツに仕上げていくという。
 会場で紹介された「Innocent Forest」はカクヨムなどで展開されているライトノベルをFullDive Novel化したもので,第1話は7月中旬から無料配信で2話以降は有料で展開していくとのこと。今後はFullDiveのマンガやアニメなども添加していく予定だという。

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中島健登氏
 ここからは映像コンテンツ系の話が続くのだが,まず登壇したのは,360Channelの経営企画/プロデューサー中島健登氏だ。360Channelはコロプラから派生した360度動画を専門に扱う会社である。コンテンツの制作と配信プラットフォーム360Channelの運営を行っているという。制作に関してはこれまで400本以上の360度動画を制作しており,国内ではトップレベルの実績を持っているとのこと。配信のほうは,この1年でコンテンツは70チャンネルに増えており,宇宙に行ったり,アイドルとデートしたり,普段はなかなか見られないようなところに入っていったり,猫と戯れたりと,さまざまなジャンルの映像が配信されている。制作風景のカメラ構成を見る限り,ステレオの立体動画ではなく,平面の360度動画のみのようなのがちょっと残念だが,こういうのもそのうち立体化されていくのであろう。

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 ちなみに,Virtual Gateのイメージキャラクターキズナアイ出演のA.I. Channel 360もここで展開されている。このあたりのサンプルは会員登録しなくてもWebで視聴可能なので(VRデバイスでの視聴も可能),軽く確認しておくのもいいだろう。

A.I. Channel 360


 GLADIOLUS代表取締役の坂田佳隆氏から同社が配信するVRグラビアアイドル動画FANTASTICAに関する説明が行われた。会場で上映されたサンプル動画は以下のものだったので,まずはこれをご覧いただきたい。


坂田佳隆氏
 あまり説明する余地もないと思うが,VR映像でグラビアアイドル動画を制作している会社である。ポイントは「360度動画ではない」という点だ。世の中,360度の球面動画がなぜかVR動画扱いされることが多いのだが,そういうのは平面視の映像なので臨場感などはほとんどない。FANTASTICAの視野角というか見回せる範囲は180度だが,平面映像ではなくちゃんとした立体映像である。個人的にはこの手のサラウンド映像は180度もあれば十分と考えているので,まったく正しい選択だと思える。
 そこそこの視野角とヘッドトラッキング,そしてバイノーラルサウンドがもたらす臨場感がこのコンテンツの真骨頂だろう。実写系のVRコンテンツとしてはある意味正統派の展開といえる。
 坂田氏はこだわりとして出演者との「近さ」を挙げ,超密着感などを重視していることを強調していた。アバターとなる男優はグレーのスウェットジャージを着用しているが,これは視聴者層を想定した結果だという。FANTASTICAが提供するグラビア映像は,日常体験により近いものである。いままでのグラビア動画は南の島の青い空の下といった現実とは遊離した世界で展開されていることが多かったわけだが,FANTASTICAが目指すのは日常空間に綺麗な女の子が登場して,六畳間で一緒に暮らしているような体験を実現することだという。なお,価格は980円程度とちょっとお高めだ。

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吉澤貴幸氏
 続いて登壇したAOI Proのクリエイティブディレクター吉澤貴幸氏は,同社でのVRへの取り組みなどを紹介した。
 AOI ProはCM制作を中心に映画やテレビ番組などの映像制作をしている会社だ。日本最大規模の映像制作会社であるという。そんな同社が挑むVR映像としては,VR Dream Match Baseballという野球体感型コンテンツをすでに制作している。CGで実現された165km/hの剛速球を体感できるコンテンツなのだが,今度は実写でやってみたいということで作られたのが,Wonderfull Worldだ。これは筑波大学と共同で開発されたもので,VRヘッドセットFOVEなどとともに歩行装置および,「手」で構成されている。ベルトコンベアのような実際に歩く体験をしつつ,女の子に手を引かれるというコンテンツにすることで,前方のみでのヘッドトラッキングにしか対応していないというFOVEの制限を隠蔽する目的もあったという。実際のところ,これはかなりうまく機能したとのこと。現在はVAQSOのデバイスを使った匂いをつける試みをしているところだという。


 VRコンテンツとしてはよくできたもののようだが,歩行装置などはそう簡単には設置できない。このコンテンツをVirtual Gateに持っていきたいというテクノブラッドから,椅子に座ったままでも成り立つのではないかと言われ,歩行装置なしでやるとどうなるのかと試してみると,この手のロコモーションを伴うVRコンテンツで予想されるVR酔いはほとんど発生しなかったのだという。いくつか理由が推測されていたが,まだなぜ酔わないのかはよく分かっていないようだ。先ごろGoogleが発表したように,音響が非常に重要な役割をしているからではないかとか,映像制作会社だけあって,目線の誘導やストーリー展開がきっちり作られていて,体験中の目線が散らばらないからではないかという仮説が立てられているという。
 吉澤氏は,「会いたいは合えるに変わる」というVirtual Gateのコンセプトは同社のコンテンツにも非常になじむものであり,早期にWonderfull Worldを配信したいところではあるが,VR酔いの部分で確信が持てないと語り,来場者にモニタリングを要請していた。
 ということで,現時点では配信は未定であるが,早期のリリースに期待したいところだ。

 続いて海外のVRコンテンツについての紹介が行われた。最初に登壇したのは,韓国Thirteen Floor CEOのPark Jung-woo氏だ。Thirteen Floorは実写映像を使ったシネマティックVRを追求する会社とのことで,360度映像の制作やテーマパークへの展開,クリエイター育成などに取り組んでいるという。VR映像の独自技術も多く開発しており,カメラ映像のスティッチングなどには自信を見せていた。
 Virtual Gateで展開されるのは「Drift Racer」つまり,クルマのドリフト競技を360度映像化したものだ。壇上には制作協力したTeam MAD FACEからドライバーとしても参加した北川康司氏と韓国チャンピオンCho Sun-Go氏が上がり,やってみないとわからないドリフトというものを体験できる機会として,Virtual Gateを高く評価していた。
 Drift Racerは現在無料で配信されている。

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 シンガポールのMixed Realms COOのChee Yong Ngo氏は,昨年会社を立ち上げて3万ドルと4名のスタッフで最初のゲームを4か月で作ったという。当初はモバイルゲームを作ろうとしていたようだが,方針を変更にVRコンテンツを作ることにして成功したようだ。当時のVRゲームをプレイしていて,VRの良さが生かされていないと感じた氏は,VRはこんなはずではないと奮起し,Matrixのバレットタイム,甲殻機動隊のハイテクアクション,そしてKill Billのとんでもないキャラを組み合わせることにしたのだという。
 PCゲームで人気ジャンルであるシューターとアクションを取り入れることに決め,最後に忍者になれたらいいなと忍者アクションを作ることになった。日本風の世界観なのでタイトルも日本風(ローマ字風)に「Sairento VR」にしたとのこと。
 なんとなくトンデモな感じしかしないのだが,襲いくる敵をバレットタイムで撃ち斬り伏せるという内容は大受けしており,業界の大物が続々と同社を訪れているとのこと。
 完成版はこの秋に出来上がる模様。そこからVirtual Gate版を作り始め,提供は2018年春になる模様だ。同時期にPSVR版のリリースも予定されている。

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 韓国,SKONEC Entertainmentの副社長Choi Jeong Hwoan氏が登壇した。SKONECは,韓国のゲーム開発会社では珍しくオンラインゲームやモバイルゲームではなく,コンシューマゲームやアーケードゲームを手がけてきていた会社だという。VRに取り組み始めたのは5年ほど前だそうだ。
 同社の取り組みとして,コンシューマVRの例が挙げられた。Motal BlitxはPSVR用のゲームで,日本でも売り上げ一位になっている。さらに展開しているのがロケーションVRだ。このMotal Blitzを銃を持って歩き回るコンテンツにしたものがロッテワールドなどで展開されているそうだ。
 続いて挙げられたのはソーシャルVRだ。同社がVirtual Gateで取り組むとしたら,Motal Blitzのようなゲームというよりむしろこちらかもしれない。日常的な作業をVRでもっと便利にするようなものがなにかできるのではないかとChoi氏は語っていた。そのほか,同社は産業用VRにも注目しており,そちらへも取り組んでいるという。
 ゲーム,ソーシャル,産業用いろんな分野でVirtual Gateと協力していきたいと氏はまとめていた。

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 最後にソフトメーカーではなくサードウェーブデジノスから,VR対応機などの紹介があった。VRが動くならスペックについては,まあどうでもいいのだが,HDMIとUSBがフロント側に出ているというのにはちょっと注目だ。VRデバイスは一度セットアップしたらそうそう動かさないものかもしれないが,Virtual Gateでは毎回使用者がFOVEをセットアップする必要があるので,ポートにアクセスしやすいというのはかなり大事なことだろう。
 FOVEではあまり使わないと思われるが,一般にPCでのVRではUSBポートがたくさんあるというのは非常に重要だ。Riftの場合だと,ヘッドセットに1本,(Touch使用時に)トラッカーに2本,Xboxコントローラに1本が必要で,意外と余裕がなくなる。
 今回発表されたのは事業用という位置づけのもののようだが,民生用にも同じようなオプションがほしいものだ。

Virtual Gate仕様のPC
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 ハイエンドVR環境を整えることは,一般人には容易ではない。PC環境とヘッドセットだけでもそれなりの投資が必要になる。Virtual Gateで使用される機材のスペックは,基本的に各社VRヘッドセットがVR Readyで要求するものと等しい。FOVE自体の要求スペックも(画素は4割以上多いのだが)これらと同一である。さらにFOVEや外付けHDDなどを揃えればVirtual Gateに対応は可能だ。
 加えて若干厄介だったのが,スペースの問題だ。ルームスケールのViveはもちろんだが,Touch以降はRiftもそれなりの広さのスペースがないとセットアップがままならなかった。個人的には,日本の一般家庭では着座で楽しめるVRが一番適していると感じていたのだが,FOVEであればそのあたりは現状のネットカフェのままでも手軽に扱える。しかも,最先端の視線トラッキングUIが体験できるのだ。なかなかよい組み合わせといえるだろう。

 ネットカフェではある程度のスペックのゲームPCを揃えることが当然となっているので,機材面での導入障壁は低いのかもしれないが,どれくらいの集客が見込めるのかは未知数である。うまく転べば面白い展開になりそうなのだが,やはり今後のコンテンツ次第といったところだろうか。

Virtual Gate公式サイト