John Carmack氏によれば,VRコンテンツ開発者は「目新しさに乗じて大した苦労をしていない」

Oculus VRのCTOのCarmack氏はOculus Connectに集まったオーディエンスに対し,VRゲームをモバイルにシフトするよう訴えた。

 John Carmack氏は,開発者がVRプラットフォーム上のソフトウェア・コンテンツを支配し続ける「目新しさ」という部分を超える必要があることを強調した。

 先週開催されたOculus Riftの開発者向けカンファレンス「Oculus Connect」の閉会に際して,OculusのCTO(最高技術責任者)である同氏は,集まった群衆に対してコミュニティと呼びかけ,VRコンテンツ開発者が「自分自身により厳しくある必要性」について語った。とくに,多くのVRソフトウェアは,消費者に対して非VRと同等の価値を提供していないことを示唆した。

 「VRが,人々がこれまで見たこともなかった初めての驚きであるという目新しさに乗じて,私たちは大した苦労もせずにいます」と,彼は続けた。「しかし私たちは,私たち自身を,過去や他者と相対的に比較するグラフ的なものではなく,絶対的な感覚でもって評価しなくてはいけません。あなたはVRで非VRなど,ほかのものが成しとげてきたものと,同じかそれ以上に価値があることをできますか?」

「私たち自身を,過去や他者と相対的に比較するグラフ的なものではなく,絶対的な感覚でもって評価しなくてはいけません」

 Carmack氏は,「品質の客観的な測定」についても語った。UIデザインを改善する必要性に言及したり,VRアプリケーションにボイスコントロールがないことに疑問を投げかけたりしたが,焦点を当てるべき点としてロード時間を挙げた。業界のあちこちで,開発チームはロード時間を29秒かそれ以下に減らすために,もがき,戦っている。しかしVRにとって,そのスタンダードは長すぎる。

 「あなたが座って,1時間遊ぶつもりならばそれは許容範囲でしょう。しかし,VRの最初の起動時間は,本当に不快極まるものです。例えば,あなたが電話を使うたびに画面解除に30秒かかると想定してみてください。あまり使わなくなってしまうのではないでしょうか」

 「面白そうだと思ってプレイしようとしたアプリでも,結局やめたものがあります。ロード時間が長すぎるからです。個人的には,ロード時間は20秒がマックスだと思います。それですら,プレイする人々に我慢してもらうものだと思います」とCarmackは続けた。

 最後の一言としてCarmack氏は 「人々に印象づけるために最も望まれるもの」という「目新しさ」が持つ魅力を避けるべきだと念押しした。「ほとんどの開発者は少なからずそこを履き違えているのです」
 「誤った認識がはびこっているのです。目新しさを避けることがあなたのパフォーマンスを傷つけるということでも,または,ビジュアルのクオリティが良くなくなるということではもちろんありません。目新しさを追うことは実際,間違った行為なのです」


訳:「VRアプリケーションのクオリティに関するたくさんのコメントは,仕事がもう少し片付いたらブログに載せます」

「パフォーマンスへのハードルがどんどん高くなるのではなく,選択肢へのハードルがどんどん低くなるのです」

 閉会の挨拶でほかに述べられたこととして,「いまだにGear VRのアプリケーションを作るのは簡単ではないのです」とオーディエンスにリマインドしつつ,彼が言うところの表現領域の「未来」であるモバイルVRについてブーストがあった。

 「それができる1億台のPCがあるかもしれません。しかし,私はFacebookがOculusを買収したときの「全世界で10億人がVRを使う」というミッションを信じています。ですから,パフォーマンスへのハードルがどんどん高くなるのではなく,選択肢へのハードルがどんどん低くなるのです」と述べた。

 PC上のVRは「創造的な教室」や「ラボ(研究所)」になり,そこで醸成されたアイデアは「末端(下端)のシステム」に押し出されるだろうとCarmackは予測した。要は,テクノロジーの範囲がまだ限定的であるにもかかわらず,最前線に引き込まれる開発者の傾向について言及しているように見えた。

 「XboxやオリジナルのGamecubeを手掛けた古参開発者を探してきて,あなたのクロック速度は800MHzだと言ってごらんなさい。彼らは『MHzだって?!』と驚くことでしょう」

「800MHzでは遅いと思うかもしれませんが,間違いなくまだそれでも素晴らしいことができるのです」

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